第21話 お盆の法要 坂崎ゆき 
私が15歳の秋、父方の祖父が長い寝たきり生活の上亡くなりました。
葬儀告別式も終わり、時が経ち1周忌を迎えた頃の事。
夏、新盆でもあるので繰り上げて1周忌法要をしました。
ついでと言うのは失礼な言い方ですが、曽祖父の33回忌法要と合同でやったんですね。
暑い盛りの昼下がりの日曜日、寺の本堂で僧侶の読経が響く中、
あきっぽかった私は途中で退屈してあちこちを目だけで見回していました。
すると、障子の影が不意に映りゆらゆらと動いていました。
私はそれを見て
『次の法事の家族がいるのかも知れないな』
と、思っていました。
また、パタパタと走るような足音も聞こえています。
このお寺は保育所があり、その子供が入り込んでいたんだろうな・とその時は納得していたんです。
法要が終わり、応接間でお茶を戴いている時に賄いさんに

「次の方がみえてるんですね」

と言う話をしたら

「今日法要はお宅だけですよ?」

と返ってきました。
おかしいいなあ〜と隣に座っている親戚のおばちゃんにもこの話をしたんです。

「子供が入り込んでたでしょ?」

って話も。そしたらおばちゃんが

「ゆきちゃん、今日は日曜だから保育園は休みじゃないの?」

『・・・・・・日曜日?そうだ、今日は日曜日だ・・・・・・保育園はお休みだ・・・・・じゃあ、あの影と足音は??』

黙り込んだ私を見ておばちゃんは小声でひそひそと

「ゆきちゃんも見たんでしょ?私もよ。影と足音だよね。」

「うん、あれなんだろう」

「お盆だから帰ってきたのかな、じいちゃんたちが」

影の件は納得できたんですが、足音が分からないままです。
祖父の兄弟姉妹の中で幼くして亡くなった人がいるようなので、きっとその人だろうな・と考えています。
(墓碑に刻まれていたので)
でも、影も足音もそれっきり他の法要では見聞きしていません。
お盆という時期の偶然だったかもしれませんが。
第22話 消えた足音 あいり

これは、私がまだ小さな女の子だった頃の話です。
私は家族と父の実家に遊びに行きました。
父の実家は広く、大きく子供心に何か恐怖感のようなものを感じていました。
祖父母はとうの昔に亡くなり、父の姉、つまり伯母が住んでいました。

その日、私は幼い従妹や妹と一緒にかくれんぼをして遊んでいました。
大人達がいなかったのは、墓参りに行っていたのかもしれません。
子供の中で一番大きかった私が鬼をすることになりました。
「いーち、にー・・・・」10まで数えてみんなを探しに行きました。
まず1階。
仏間に従妹が隠れていました。
「みーっけ」「見つかっちゃったー」まず一人。
そして妹も1階で見つけました。「おねーちゃん、すごーい」
そして、最後の従弟を探しに2階へ行きました。
2階への階段を上って、祖父母の部屋だった所に足を踏み入れようとした時、
不意に階段を上って来る足音がしました。
(あれ?ママ達帰ってきたのかな)
でも、大人たちの「ただいまー」という声はしませんでした。
1階には、誰もいない事は私と従妹と妹が確認しています。
明らかにおかしい。私は従妹と妹を抱いてその足音を聞いていました。
足音は、どんどん近づいて私のすぐ傍までやってきたと思ったら、その足音は聞こえなくなりました。
(あれ?)不思議に思ったそのとき、祖父母の部屋から従弟が飛び出してきました。
その顔は青ざめています。
「どうしたの?」「今・・・・。なんか知らないおばーちゃんが入ってきたー!」
そんなはずありません。だって、外には私と従妹、そして妹しかいなかったのです。
しばらくして大人たちが帰ってきました。
従弟は仏間にあった祖父母の写真を指差し、
「さっきこのおばーちゃんが2階にきたのー」と言いました。
叔母がびっくりして、言いました。「それって、あなた達のおばあちゃんだよ。」
後で聞いたら、その日はちょうど、祖母の命日だったそうです。祖母は、寂しかったのでしょうか・・・。


第23話 墓地から聞こえる声 タロー#0814 

中学の時に通っていた塾の通り道にね、墓を横断する道があるんですよ。
塾が終わるのが夜九時半だったので、それから夜遊びして帰ると、結構遅い時間にその道を通るんです。
暗い道でね、あまり通りたくは無いんですが、ここを通らないと遠回りになるから仕方なく通っていました。

ある日、塾の帰りに自転車でその道に差し掛かったところ…
お墓の方から男性の声が聞こえるんですよ。
こんな時間に墓参りする人が…?
そういう人がいてもおかしくは無いですけど…
なんか嫌だなぁと思い、ちょっとスピードを上げました。

でね、暫く自転車を走らせていると、おかしな事に気付いたんです。
ちょっと走ればそんな声、すぐに聞こえなくなるはずじゃないですか…。
でも、ずっと墓の方から聞こえるんですよ。
最初に声が聞こえた地点から随分離れているのに、声がまだ聞こえる。
まるで声が私についてきてるみたいに…。

最初はね、その声、お経を唱えているのかと思ったんですよ。
一定のリズムで同じような事を言っているから。
でも、よく聞くとお経じゃなくて、こう言ってたんです。
「山本、こっち…」「山本、こっち…」
ずっと同じ言葉を繰り返しているんです。
「山本、こっち…」「山本、こっち…」
実は、山本って私の苗字なんですよね。
ありきたりな苗字なんで、私の事じゃない、私を呼んでるんじゃない…
そう思い込もうとしましたけど、やっぱり偶然にしても気持ちが悪い。
怖くなったので、逃げるように墓の道を抜けました。
墓を抜けると聞こえていた声はピタリと止みました。

無事、家に着いてチャイムを鳴らし、母に玄関の鍵を開けてもらいました。
玄関を開けて中に入ろうとすると、母が私の後ろを見て言ったんです。
「あら、いらっしゃい。」
怖くて後ろを振り返る事はできませんでした…。

第24話 真夜中に・・・ 霧月 絢華 

この間、部活の休憩の時に友達に聞いた話なんですが、
友達がお父さんの仕事の事務所に彼女のお兄さんと泊まった時のことだそうです・・・。

夜、寝ていたらいきなり『ガタガタッ』って音がしたらしいんです。
その音で起きた彼女とお兄さんは、「え?ちょ、何!?」みたいになって音のしたほうへいったらしいんです。
そしたら、積んであったカップ麺が崩れていたそうです・・・
彼女の家族のほかには誰もいなかった上に、皆寝ていたというのに・・・。
そしてそのあと、なかなか寝付けずにいると、窓に人影が映ったそうです・・・。
周りの家は皆寝静まってしまっていたというのに・・・。

彼女は、元々霊感があったそうで、彼女のお祖父さんが亡くなって、
お祖父さんの部屋の仏壇のところにいると、「○○・・・」って、彼女のお祖父さんの声が聞こえたり、
危篤状態のときに、虫の知らせのようなものを感じ取ったりしていたそうです・・・。

私も、霊感はないのですが、不思議な体験をしたことならあります。それは別の機会に書くことにしますね。


第25話 幽霊 T
幽霊って言えばさ
俺の知人から聞いた話なんだけどさ
姉が遊びに来て泊まって行ったんだって
でね、その姉ってのがはぎしりすごい人らしいのね
で、そいつの家には時々おじいちゃんが出るんだって
自分のおじいちゃん(故人)ね
で、寝ぼけてるような時にしか出ないし、おそらくおじいちゃんだから特別恐怖感はなかったらしいのね
で、姉が泊まった日に出たんだってさ
で、おじいちゃんは「どっちだ・・・」って言って
ツレは「姉ちゃんの方」って答えたら
「そうか・・・」って言って消えたって(笑

で、その後姉の歯軋りはとまった、ってさ

第26話 8月の陽炎 坂崎ゆき 
もう夏ですね。
この時期近くなると思い出すことがあります。
まだ結婚してまもなくの頃、バイトの遅番の時旦那を送り出した後なぜか二度寝してしまい、
大急ぎで職場に向かっていました。

駅に着くとタッチの差でバスが行ってしまい、待ってるより歩いていった方が早く着くと目算し早足で歩いていました。
もうすぐ着くという時、曲がり角から不意に出てきた杖をついたおじいさんと肩がぶつかってしまい、一言

「すいません」

といって通り過ぎようとした瞬間

「あの人確か杖ついてたよね・・・まずい!転んでないかな?」

と心配になり振り返りました。
・・・・・・・誰も居ません。
一瞬タクシーでも捕まえたのかとも想いました・・・が、その日に限ってタクシーはおろか車は1台も通っておらず、
道路の向こう側を含めて数人の通行人がいるだけ。
(この場所はR246近くの都内)
でも通行人の中にあのおじいさんは居ない・・・・・。
私がおじいさんとぶつかってから、振り返るまでかかった時間は僅か数秒足らず。
煙のように彼は消えてしまったんです。
辺りに響くのは風で木の葉がざわめく音とセミの声だけ・・・・・・・
「アレ・・・・・??あの人どこに行ったの?なんだったの?」
時間を確かめようと携帯電話を見ると時間は11時50分過ぎでしたが、
ディスプレイの日付で何となく、この出来事が納得出来たような気がしました。
その日・・・・・・・・・は8月15日、終戦記念日でしたから。
忘れっぽい私が、時間や日付を覚えている数少ない出来事です。


第27話 真夜中の素足 ゅきてぃニャぁーゴ

 一週間くらい前のことだったなぁ。
彼とのデートの帰り家まで送ってくれてたんだけど。
家に近づいてきたくらいに歩道橋があるの、
結構古くて田舎だから真夜中にでもなると信号機が黄色のみに点灯するような、
さびれた本当になんでもないような交差点、
そこを通りかかったときに彼がいきなり、
「なんだあれ?!」って言うから「はぁ?!」って感じで彼の見てる方を見たの、
そしたら歩道橋の階段付近を人の足だけがテクテクって歩いてるのが見えたの。
しかも小雨が降るなか素足で、ものすごいインパクトだったなぁ・・・
怖いというより唖然として、ついついふざけて「雨のなか素足で歩道橋横断とか・・・ヤバイねー!」とか言っちゃったよ・・・
でも不思議だったなぁ。ひざから上が何にもなかったんだもん。


第28話 幼稚園の頃 黒桃


幼稚園の頃奈良県の吉野に住んでました。
その家で母と暮らしていました。
ご飯を食べる前のこと、僕はインターホン?家に着いてたカメラ付きのチャイムで音は鳴っていないけど、カメラだけ着けていました。
その時、中学生くらいの女の子が立っていました。
すぐに母に言いに行って、カメラを見てもらっても、
「なにも写ってないやん。」って言われて、
「あれ?そうなん?」
って言ってカメラをみたら、何も写っていませんでした。
確かに女の子がいたと思いましたが、そんなに気にしませんでした。
そして、引越しをした今の家でも、そのインターホンを使っています。
最近母になんであの家を引越したかを聞いたことがありました。
「家で白い服を着た女の人が立ってるとか、ゆってたから怖くなって、引っ越してんやん。」と言われて、
そんなことあったかなと今思います。
その時に聞いたことですが、滝で家族で自殺したとか、その家の裏庭で、女子中学生がいじめられた末首吊り自殺したとか、
聞きました。
あの時見た女の子は、その子だったのかなと思いました。以上です。


第29話  広島原爆ドームに行った夜 オメガ
この話は、僕が通っている塾の先生から聞いた話です。
先生がまだ講師になっていない頃の話です。

先生は広島にいる友達の家に行きました。
広島に着いたらさっそく原爆ドームに行ったそうです。
しばらく見学したあとに、友達の家にいったそうです。
気ずいたらもう夜の10時になっていました。もう遅いので友達の家に泊まることにしました。

10時半に布団の中に入り寝ました。
深夜にトイレに行きたくなりトイレに行くために襖を開け廊下に出て
トイレにいこうとしたらトイレのドアの前に髪の長い女が体育座りをしていました。

この家の人かな、と先生は思い、なんかトイレに行きずらくなったので部屋に戻り
襖を閉めようとしましたが襖がなかなか閉まらないのです。
何かがおさえてるように。それを五分ほど続けやっと閉まりました。

先生は怖くなり布団の中に急いで入り朝が来るのを待ちました。
やっと朝になり友達と一緒にご飯を食べてるときに
先生はこの家に髪の長い女はいるか?と、聞きました。
そんなひとはいないよ、と友達は言いました。
先生は「じゃあ、昨日見たあれは、原爆で亡くなった人じゃないか?」と先生は思ったそうです。
霊感が強い方は一度原爆ドームに行ってはいかがでしょか。

第30話 上の部屋で… トルマリン

岐阜の大垣市の外れにある石材加工会社があった。
ここの寮に入社してすぐ工場研修目的で、二ヶ月ほど住んだことがある。

ある夜中二時ころ、上の部屋で子供が走り回っている。
何だこんな夜中にガキなんか遊ばせやがってと不愉快な気分になり、しかし次の瞬間ぞっとした。
何故なら上の部屋には誰も住んでいない。
また私がいた部屋は蛍光灯が二回も続けてすぐ切れたりした。
忘年会の時にその話をすると、やっぱりということでいろんな証言が出てきた。

私の前に住んでた人は半年でノイローゼになり、
私の部屋の上の隣の部屋にいた人は、昼寝してたら子供のミイラが隣に寝ていた、
すし屋の女将さんは夜青白い光がその寮の周りを飛んでいるのを見たそうだし…。
その寮は取壊され本社ビルが建てられたらしいが、その会社も8年位前に倒産したらしい。